すばるくんのブログ(公式)

『すばるイブニングコンサート 東海林茉奈ピアノリサイタル』公演レポート   2013.04.25

第15回目のピアニストは兵庫県立西宮高等学校音楽科2年の東海林茉奈さんです。

 

4月に2年生になったばかりの初々しい東海林さんがまず演奏してくださったのは、「プロコフィエフのトッカータ」。鍵盤の連打がリズミカルに続いていきます。オクターブや重音などのバリエーションを加えながら時に激しさを増し、独特な音響効果が醸し出されていました。
続いては、ショパンの作品から「エチュードOp.25-6」と「舟歌」。エチュードは3度の重音の練習曲で、まるで風がゆらぎ、ざわめくように曲が流れていきます。「舟歌」では、東海林さんの優しくナチュラルな音色がよく生かされていて、耳と心に音楽が自然に染み込んできました。そして、その美しい音色は水面の波紋や光の反射、きらめきなどの風景を想起させ、まるで大自然に囲まれているかのような、飾りのない音の世界へと誘ってくれました。
続いては、モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第3番」。この古典の作品も、東海林さんの音色とぴったり息があっていました。躍動感のある第一楽章、優しく話しかけるような第二楽章、軽快でユーモアのある第三楽章、どの楽章も作品の雰囲気を大切にしながら、自身の良い部分を生かすことのできる作品だったと思います。
最後は「リストのスペイン狂詩曲」。これまでとは打って変わって、激しく技巧的な曲を情熱いっぱいに演奏してくださいました。東海林さんの演奏は曲想が激しい部分でも歯切れがよく、かつ音の濁りもない演奏で、ハーモニーが美しく会場に響き渡りました。また、音の粒のバリエーションが豊富で、音の伸び・キレなど多彩な音色を楽しむことができました。そして、この曲の民族的なリズム・メロディーも朗々とうたいあげてくれました。

 

今後はレパートリーを増やしていきたいと抱負を語ってくださった東海林さん。皆さんのお手本となるようなそのナチュラルな演奏をこれからも多くの方に届けて欲しいと思います。
(担当職員T)

ページの最初に戻る