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『すばるイブニングコンサート 南優希ピアノリサイタル』公演レポート   2014.04.18

   

 

 

 

第21回目のピアニストは大阪音楽大学1年生の南優希さんです。

 

この春に大学生になったばかりの南さんのプログラムは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「熱情」で始まりました。第一楽章に登場する「運命の動機」が随所に現れ、曲想も高揚と抑揚を繰り返しながら、展開してゆきます。まるで波がうねりと静けさを繰り返す様子を描くかのように繊細な表現をしてくださいました。第二楽章では、低音の響きを確かめながら、美しい旋律が小川の淀みとせせらぎのように流れていきます。第三楽章では、まさしく“熱情”という題名のごとく苦境を打破するかのように力強く、会場のお客様も息をのむような演奏でした。

 

続いては、ショパンのエチュードから「木枯らし」を演奏してくださいました。この曲は小さいころから人前でよく演奏していたそうです。音の粒が際立っていて、木枯らしの唸りが細かく描かれていきます。

 

続いては、リストの「グノーの歌劇ファウストのワルツ」。力強いワルツのリズムの伴奏に乗せてグノーの颯爽としたメロディーが会場に広がります。リストの編曲とあって名人芸的な技巧も見られ、中間部のピアノをかき鳴らすかような美しい響きは特に印象的でした。

 

そして、最後はラヴェルの「夜のガスパールよりスカルボ」。南さんの優しく柔らかい音色がこの曲を奏でると、妖精スカルボに妖艶さが加わり、この曲に新たな色彩を投げかけているようで、超絶技巧に満ちた動きのめまぐるしいこの曲を魅惑的な作品に仕上げてくださいました。

 

将来は語学力を生かして、イギリスに留学したいと抱負を語ってくださいました。留学を経てさらに成長された演奏を、今から待ち遠しく思わせるピアニストです。

(担当職員T)

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