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『すばるイブニングコンサート 島多璃音ピアノリサイタル』公演レポート   2018.03.04


 

 

 

第42回目のピアニストは兵庫県立西宮高等学校2年の島多璃音さんです。

島多さんが最初に演奏してくださったのはバッハの「平均律クラヴィーア曲集第2巻第1番」。柔らかく優しい音色に会場が包み込まれ、心があたたかくなるような癒しのメロディーが流れていきます。そして音の響きは、まるで霞がかった特別な空間にいるかのように神秘的でとても味わい深いものでした。続いて演奏してくださったのは、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第21番“ワルトシュタイン”」から第1楽章。軽快なテンポで音楽が流れていきます。指使いもこきみよく、切れ味のある演奏でビートを感じさせつつも、メロディーを美しく歌わせ、若者らしいフレッシュで躍動感あふれる演奏をしてくださいました。次に演奏してくださったのはリストの「メフィストワルツ第1番“村の居酒屋での踊り”」です。これまでの2曲とは打って変わり、冒頭の連打から明快でクリアな音色がピアノから飛び出してきます。リストの技巧が随所に散りばめられており、指が鍵盤上を無尽に駆け回りますが、島多さんの演奏からはリストの豊かな発想力を感じ取ることができました。そして後半に演奏してくださったのは、島多さんが人の複雑な心境が描き出された曲として紹介してくださった、ラフマニノフの「絵画的練習曲Op.39-1」と三善晃「ピアノソナタ」で、この二人に共通するものとして“戦争”をキーワードとしてあげてくださいました。島多さんは、ラフマニノフの作品では、ラフマニノフの哀愁深いメロディーを美しく歌わせながらも、激情を表現する熱い演奏を聴かせてくださいました。また、三善晃の作品では、不安定な響きが恐怖や無秩序、音楽の激しさと静けさが破壊を感じさせます。音楽を味わうというよりは、音楽が心につきささるかのような直接的な作品でしたが、島多さんは全体の構成をしっかりと捉え、説得力のある演奏をしてくださいました。

島多さんは音色が豊富で、多彩な表現をしてくださいます。また、構成力も素晴らしく、深い部分まで音楽に惹き付けられます。これからも、豊かな音楽性を大切にして、いろんな音楽を皆様に届けていただきたいと思います。

(担当職員T)

 

 

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