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『すばるイブニングコンサート 遠藤優美ピアノリサイタル』公演レポート   2018.04.03

 

 

 

第43回目のピアニストは京都市立芸術大学大学院の遠藤優美さんです。

遠藤さんはプログラムの前半にショパンに関係する作品を並べられました。まず、最初の曲はショパン作曲リスト編曲の「6つのポーランドの歌」から、“乙女の願い”、“春”、“指輪”、“酒場の唄”の4曲です。“乙女の願い”では軽やかで優しい音色の響き、“春”では少し切なげで哀愁ある旋律、“指輪”では心の内の語り、“酒場の唄”ではオベレクのリズムに乗せて楽しげで豪快な様子が印象に残る演奏でした。次に演奏してくださったのは、ショパンの「ノクターンOp.62-1」です。ゆったりとした音楽の流れが幻想的な空間を作り出し、トリルを多用した部分では音の響きが時間と空間の揺らぎを表しているかのようでした。続いては、ショパンの「華麗なる変奏曲Op.12」を演奏してくださいました。緩急、音の強弱のバリーエーションはもちろん、ショパンの多彩なアイデアがいっぱい詰まった作品で、ショパンの他作品でも使われているようなエッセンスが聞き取れるところもありました。そして、後半は遠藤さんならではの曲目が並びました。後半の最初に演奏してくださったのは、セヴラックの「休暇の日々から第1集より第6曲古いオルゴールが聞こえるとき」です。短い曲ですが、遠藤さんは煌くような音でリズミカルに旋律を奏でてくださいました。続いては、フォーレの「ノクターンOp.33-2」。遠藤さんはこの曲を前半に演奏したショパンのノクターンと調整や構成などにおいて類似があることを指摘しつつ、フォーレ独自の音の響きも大切に演奏してくださいました。そして、最後に演奏してくださったのは、バツェヴィチの「ピアノソナタ第2番から第1・3楽章」です。これまでの音色とは打って変わって、強靭な打鍵から冷たい音が鳴り響きます。圧倒的な展開に息のつく間もなく、不安感と緊迫感に息苦しさを覚えるほどです。曲の構成も非常に独創的で難曲だというのが演奏から伝わってきました。

遠藤さんは、一つ一つの音のバランスがとれていて、かつまとまりのある音楽を聴かせてくださいます。今回のように幅広い曲目でも、ご自身の持ち味を存分に聴かせてくださいました。心地良い音楽を奏でられる素敵なピアニストです。

(担当職員T)

 

 

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