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『すばるイブニングコンサート 伊達広輝ピアノリサイタル』公演レポート   2018.11.30


 

 

第44回目のピアニストは東京藝術大学1年の伊達広輝さんです。

伊達さんのプログラムはヘンデルの「シャコンヌ」から始まりました。暖かなメロディーが優しく奏でられていきます。会場の空気を温めるかのように、曲調も華やかに変化していきます。伊達さんはドラマティックな曲の展開をしっかりと左手のリズムが支える、見事な演奏を聴かせてくださいました。続いて演奏してくださったのは、グリンカ=バラキレフの「ひばり」です。ひばりの鳴き声が哀愁あふれるメロディーラインで表現されています。そして、このシンプルな主題が次第に華麗に装飾され、ダイナミックに表現されていきます。ひばりが大空の風に乗って飛び交うような情景が想起されました。そして、最後に演奏してくださったのは、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」です。演奏時間が30分近い大作を、男性ピアニストらしく最後まで力強く演奏してくださいました。この曲はよく知られる“プロムナード”の演奏から始まります。この“プロムナード”はハルトマンの遺作展に足を運んだムソルグスキーの歩く様子を表していると言われていて、この曲の中で形を変えて何度かあらわれます。“小人”では不気味な緊張感、“古城”では左手の不安定な和音が刻むリズムに乗せたロシア的なメロディー、“テュイルリーの庭”では陽気なリズム、“ビドロ”では牛車を思せるような重い響き、“卵の殻をつけた雛の踊り”では音で遊びを表現するかのようなコミカルなリズムが印象的でした。続いて、“ザムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ”ではトリルの多用が面白い音の響きを作り出していて、“リモージュの市場”では連打が会話のせわしなさ、“カタコンベ”ではゆっくりとした流れに静寂と絶望が描かれているようです。“鶏の足の上に立つ小屋”では激しく、複雑な音の厚みを感じさせてくださいました。そして、最後の荘厳な“キエフの大門”ではホールの隅々まで響き渡る情熱的でダイナミックな演奏を聴かせてくださいました。

伊達さんは前半の曲で聴かせてくださった軽やかで爽やかな音から、「展覧会の絵」のような大作をダイナミックに表現する音まで、幅広い音域をお持ちです。これからも時代と国を越え様々な曲の演奏を期待したいピアニストです。

(担当職員T)

 

 

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