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『すばるイブニングコンサート 佐藤凛央ピアノリサイタル』公演レポート   2023.03.08

 

第59回目のピアニストは芦屋市立山手中学校2年生の佐藤凛央さんです。
佐藤さんのコンサートはバッハの「平均律クラヴァーア曲集第2巻第7番」で始まりました。温かくふくよかな音色が、春のように明るく軽やかな雰囲気をつくりあげます。リズミカルなテンポで四声が重ねられていきました。続いては、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第13番」。第1楽章では朗々とゆったりとした音楽の流れが絵本の世界を読み聞かせるようで、いろんな小動物が登場するかのようでした。第2楽章は滑らかさと鋭さの対比に富んだ演奏でした。第3楽章は小気味のよいリズムを保ちながら、堂々とした明瞭な音楽を奏でてくださいました。そして前半の締めくくりは、メンデルスゾーンの「厳格なる変奏曲」。メンデルスゾーンの澄んだ和音が会場に響き渡ります。変奏と共に音量も表現も豊かに変化し、素早く情熱あふれるパッセージもしっかりと集中力を保って力強く演奏してくださいました。そして、後半はショパンの作品から3曲。まずは、「エチュードから『黒鍵』」。煌びやかな音色にピアノが輝きだします。高音部の響きが美しいアクセントになり、躍動感あふれる演奏を聴かせてくださいました。次は「ワルツ第4番Op.34-3」。軽やかに指が鍵盤上を駆け巡ります。音量の変化と絶妙なリズムの変化が自然体で、波に乗っているかのような感覚でした。そして、最後は「バラード第3番」。一音一音を大切にしっかりと響かせ、両手の指を駆使してたっぷりとメロディーを歌ってくださいました。ほんの少しの間の取り方や繊細なハーモニーに佐藤さんの熱い思いを感じることができました。
佐藤さんはとてもふくよかな音色をお持ちで、懐の深い音楽を聴かせてくださいます。これから出会う作品によって更に音楽の幅を広げていかれることと思います。今の感性を大切にしてこれからも歩んでほしいピアニストです。

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