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『すばるイブニングコンサート 武岡早紀ピアノリサイタル』公演レポート 2013.11.24
第18回目のピアニストは兵庫県立西宮高等学校音楽科2年生の武岡早紀さんです。
プログラムの前半はバッハとショパンの作品。まずは、バッハの「平均律クラヴィーア曲集第2巻より第2番」。なめらかな指さばきから繰り広げられるバランスのとれたプレリュードと、一音一音確かめるようにゆったりと流れるフーガを、美しく、そして心地良く演奏してくださいました。続いては、ショパンのエチュードから2作品、作品10-8と2。作品10-8では、左手の旋律に合わせて右手が流れるように鍵盤をかけめぐります。作品10-2では、左手の伴奏に合わせて右手のメロディーが美しく奏でられていきます。どちらの曲も複雑な技巧を駆使した見事な演奏でした。
続いてもショパンで大曲「バラード第4番」。曲目の説明ではショパンが大好きで、今の自分が表現できることを出し切れるように頑張りますとお話されましたが、まさしくその宣言どおり、抒情性に満ちた演奏をしてくださいました。ゆったりとしたテンポではじまり、静寂と高揚を繰り返しながら曲想が展開していきます。ご来場のお客様も若々しく純粋な演奏に心を打たれた様子でした。
後半はベートーヴェンとスクリャービンのソナタ。この2つのソナタには“幻想”という共通のテーマがあります。まずは、ベートーヴェンの“幻想曲風ソナタ”と副題がつけられた「ピアノ・ソナタ第13番」。ハイドンやモーツァルトを思わせる古典的な雰囲気でゆったりと始まり、呼びかけとそれに呼応するようなフレーズが現れます。やがて、右手と左手が絡みあいながらベートーヴェンらしく力強い、かつ華々しい曲想に変化していきます。最後は、スクリャービンの「ピアノ・ソナタ第2番」。不気味なハーモニーがやがて幻想的で甘美なメロディーへと移り、祈りにも似た美しい音色が会場に響き渡ります。まるで音楽が幻想の世界へと昇華するかのような素晴しい演奏でした。しっかりとした厚みのある音色で“幻想”に誘ってくれた武岡さんに、ひときわ大きい拍手が贈られました。これかもその表現力を生かし、多くの人を魅了してほしいと思います。
(担当職員T)
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