すばるくんのブログ(公式)

『すばるイブニングコンサート 稲垣慈永ピアノリサイタル』公演レポート   2022.03.01

 

第56回目のピアニストは東大寺学園高等学校3年生の稲垣慈永さんです。
稲垣さんがプログラムの最初に取り上げた曲はベートーヴェンの「ピアノソナタ第23番“熱情”」です。第1楽章では、太く柔らかい音の粒が深く豊かな音量と共に雄大な世界を表現していきます。第2楽章では中音域の和音が奏でる陰鬱な雰囲気にやがて高音と低音が交わり、優しい光が差し込んでいきました。第3楽章では激しい情熱と確固たる理性が共存し、強い意志の込められた色彩豊かな音楽を奏でてくださいました。次に演奏してくださったのは、ショパンの「エチュードOp.10-2」です。テクニックを活かした素早くリズムのよい演奏で、半音階が流麗に奏でられました。続いては、シマノフスキの「仮面劇よりシェヘラザード」。幻想的な雰囲気で始まると、音楽がまるで演劇をみているかのように生き生きとした表情をみせてくれます。時には語りかけるように、時には感情を表現するように…。素晴らしい描写力により、一つ一つの音が見事に音楽を形作っていて、ドラマティックで味わい深い作品でした。そして、最後に演奏してくださったのはリストの「バッハの名による幻想曲とフーガ」。B・A・C・Hの4音の主題は、リストによって重厚なハーモニーと華やかな技巧が施されていきます。ピアノがまるでうねりをあげるかのように華麗でスケールの大きい演奏でした。
稲垣さんは音楽の描写力が素晴らしく、繊細に様々な表情を描き出してくださいます。また、長身を活かしたダイナミックな演奏も魅力的です。これからも自身が思い描く音楽の世界を大切に、ピアノを奏でていただきたいと思います。

ページの最初に戻る