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『すばるイブニングコンサート 大同理紗 ピアノ・リサイタル』公演レポート 2024.02.22
第61回目のピアニストは京都市立芸術大学2年生の大同理紗さんです。
大同さんのプログラムはスカルラッティのソナタ2曲で始まりました。「ハ長調(K.159 L.104)」では、春の到来を告げるファンファーレを思わせるような明るい音楽が会場に響き渡りました。「ト長調(K.427 L.286)」では、勢いのよいリズミカルな音楽が躍動感に溢れ、華やかなコンサートのオープニングを飾りました。続いては、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」を演奏してくださいました。優しく語りかけるようなメロディーが心に迫ってきます。さまざまな表情が繊細に紡がれ、とても味わい深い演奏をしてくださいました。そして前半の最後を締めくくったのは、メンデルスゾーンの「幻想曲-スコットランドソナタ-」。第1楽章は霞がかった雰囲気の中に、確かな意思を持った旋律が奏でられ、大小の波が次から次へと押し寄せるようでした。第2楽章は雰囲気が一転し、希望に満ちた明るい音楽が朗々と歌われました。第3楽章は激しい感情がむき出しになるかのように、勢いよくダイナミックな演奏でした。後半はラフマニノフの「絵画的練習曲『音の絵』」より、4曲を演奏してくださいました。第6曲(Op.33-6)は力強さと繊細さの両方を追求したドラマティックな演奏、第7曲(Op.33-7)は、低音に乗せて活き活きとしたきらびやかな演奏、第8曲(Op.33-8)は様々な音域の歌手が歌っているかのように多重な演奏、第9曲(Op.39-9)はピアノから花火のように音が放出され、迫力ある演奏が印象的でした。そして最後に演奏してくださったのは、ショパンの「ロンド」。鍵盤上を指が駆け巡りメロディーをかき鳴らします。クラコヴィアクのリズムによって明るく楽しい空気に包まれ、多様に装飾されるメロディーに満たされて華麗にコンサートが締めくくられました。
大同さんは空間に溶け込むような温かい音色をお持ちで、その音色は聴く側の心にも自然と染み渡ってきます。今回のプログラムもご自身の魅力を余すことなく発揮できる選曲でした。これからも心温まる音楽を多くの方に届けていただきたいと思います。
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