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『すばるイブニングコンサート 岸野花音 ピアノ・リサイタル』公演レポート 2024.03.31
第62回目のピアニストは名古屋市立菊里高校2年生の岸野花音さんです。
岸野さんのプログラムはラヴェルの2作品から始まりました。まずは「…風により“ボロディン風に”」。岸野さんのコンサートの幕開けを飾るに相応しく、爽やかで優しい風が吹き込むかのようで、会場は穏やかな雰囲気に包まれました。続いては「夜のガスパールより“オンディーヌ”」。太陽の光に反射する水面の輝きを表すような繊細な表現から始まり、やがて音楽の展開と水の精の感情が重なりドラマティックな世界が描かれました。岸野さんの演奏からは水の温度感まで感じ取れるようでした。次は、モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第18番」。第1楽章は春の訪れを告げるような軽快なメロディーを元気いっぱいに、第2楽章では優しい歌心を込めて一つ一つの音を大切に、第3楽章はユーモア溢れるメロディーを表情豊かに演奏してくださいました。後半はショパンの2作品を演奏してくださいました。まずは「ドン・ジョヴァンニの“お手をどうぞ”の主題による変奏曲」。まるでオペラ歌手が歌っているかのようにピアノをたっぷりと歌わせくださり、様々に華やかに装飾されていく主題を鮮やかに、そして活き活きと躍動感いっぱいに演奏してくださいました。そして、最後に演奏してくださったのは「舟歌」。丁寧にゆったりと描き出される世界が雄大で、美しい響きが繊細に重なりとても味わい深い演奏となりました。
岸野さんは、清廉で叙情あふれる音楽性をお持ちです。今回のプログラムでは聴き手の心を癒してくださるような温かい演奏をしてくださいました。これからもいろんな作品でご自身の魅力を深めていいただけることを願っています。
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