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『すばるイブニングコンサート 小嶋早恵ピアノリサイタル』公演レポート 2016.02.10
第31回目のピアニストは大阪信愛女学院高等学校1年の小嶋早恵さんです。
小嶋さんは小品を集めたプログラムを演奏してくださいました。まず、コンサートの幕開けはスカルラッティの「ソナタ ロ短調K.27」と「ソナタ ト長調K.427」。ロ短調のソナタは滑らかな指の動きから、芯の通った確かな音色でバロック時代の美しい旋律が、一方、ト長調のソナタは軽快で明るく力強い音色が、会場に響き渡りました。続いては、ラヴェルの作品から2曲,
「古風なメヌエット」と「夜のガスパール」より“オンディーヌ”を演奏してくださいました。「古風なメヌエット」では、シンプルな旋律や曲の素朴さが印象的ですが、随所にラヴェルらしい洗練された音楽性を感じ取ることができます。また、「夜のガスパール」の“オンディーヌ”では、水面を表す鍵盤の連打が表情豊かで、水の精の心のざわめきをも表しているかのように聴くことができました。次は、シューマンの「幻想小曲集」から“夕べに”“飛翔”“なぜに”“夜に”の4曲を演奏してくださいました。“夕べに”ではシューマンの愛を語らうかのようにゆったりとした優しい旋律、“飛翔”では若々しく希望に満ちた躍動感、“なぜに”では音楽で会話を楽しむように、“夜に”では暗闇を吹き抜ける疾風のような情熱、といったそれぞれの作品のもつ魅力を存分に引き出してくださいました。次はリストの作品から2曲。まずは、シューベルト作曲、リスト編曲の「水の上で歌う」。シューベルトの美しい歌曲のメロディーに、リストのピアニステックな技法が盛り込まれ、美しさと表現の幅が2倍にも3倍にも広がります。そして、もう1曲は「巡礼の年第2年“イタリア”よりペトラルカのソネット104番」。甘美なメロディーが恋の喜びや苦しみ表現し、その美しさを保ったまま劇的に音楽が展開しますが、それに応えるように小嶋さんの精一杯の想いが込められた演奏でした。そして、最後はプロコフィエフのピアノ・ソナタ第3番「古い手帳より」。これまでと一転して、会場が無機質な音に包まれます。音の躍動も激しくなりますが、こきみのよい演奏でしっかりと最後まで力強く演奏してくださいました。
小嶋さんは芯の通った音色をお持ちで、それぞれの曲のイメージが真っ直ぐに心に届きます。これからも音色を大切に、聴き手の心に響く演奏を続けてほしいと思います。
(担当職員T)
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