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『すばるイブニングコンサート 神原雅治ピアノリサイタル』公演レポート 2021.03.21
第53回目のピアニストは菊里高等学校3年生の神原雅治さんです。
神原さんは、最初にバッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻から第14番」を演奏してくださいました。神原さんの冴えたピアノの音色が会場に響き渡ります。柔らかな伴奏に乗せて美しいメロディーが紡がれてゆきました。次に演奏してくださったのは、メンデルスゾーンの「厳格なる変奏曲」です。ゆったりと軽やかな主題に続いて、変奏がよどみなく次から次へと流れて行きます。神原さんは緩徐な部分は鍵盤を確かめるように丁寧に、また音の跳躍が激しい部分もしっかりと集中を保って情熱的に演奏してくださいました。続いての曲はバルトークの「ピアノ・ソナタ」。打楽器的で力強いリズムと躍動的な響きが印象的な第1楽章、強弱の変化が異質な世界を表しているようで、未知の世界の扉を叩いているかのような第2楽章、華やかで厚みのある音が拍子の変化によって表情を変える第3楽章、神原さんはそれぞれの楽章のもつ特徴をしっかりと捉え、音楽の持つ大きな世界を表現してくださいました。そして、最後のプログラムはラフマニノフの「ピアノ・ソナタ第2番」で、今回は1913年版を演奏してくださいました。ダイナミックな強音が一気に会場の空気を一変させます。神原さんは冷艶な音色で、第1楽章では氷の世界を描くかのような澄んだ音楽を、第2楽章ではノスタルジックな雰囲気を、第3楽章では一転して情熱的で息のつく間もない圧巻の演奏を聴かせてくださいました。
神原さんは、冴え澄んだ美しい音色と幅広い表現力をお持ちのピアニストです。4月からは大学に進学され、ますます演奏に磨きがかかることと思います。これからも表現力豊かな演奏を聴かせてほしいと思います。
(担当職員T)
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