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『すばるイブニングコンサート 山内海波ピアノリサイタル』公演レポート   2016.03.12

 

 

 

 

 

第32回目のピアニストは神戸女学院大学音楽学部1年の山内海波さんです。

 

山内さんプログラムは、まずリストの「≪巡礼の年第2年への追加≫ヴェネツィアとナポリより“タランテラ”」ではじまりました。激しさの中にも不気味な雰囲気を漂わせながら、曲が展開してゆきます。中間部では山内さんの丸みを帯びた柔らかい音色が優しいメロディーを紡ぎだします。続いては、ハイドンの「ピアノ・ソナタ第46番」。生き生きとしたリズミカルな第1楽章、ゆったりと荘厳な雰囲気の第2楽章、春が駆け足でやってきたかのような軽やかな第3楽章、それぞれの楽章の魅力を引き出しながらも統一感のある演奏を聴かせてくださいました。次に演奏してくださったのはラフマニノフの「ピアノ・ソナタ第2番より第1楽章」。強弱のメリハリが、複雑で重厚なハーモニーと相まってラフマニノフの独創的な世界を綴っていきます。次はショパンの作品から2曲「練習曲Op.10-2」と「バラード第4番」。練習曲では左手のリズムの取り方と音のバランスが絶妙で、そこに右手の安定した音の流れが加わり軽快さを際立たせます。また、バラードはゆったりとしたテンポで一音一音を確かめるようにはじまりました。そして、曲の展開と共に、情熱を込めた演奏を聴かせてくださいました。そして、最後のプログラムはメンデルスゾーンの「幻想曲 スコットランドソナタ」。全3楽章ながら全曲通して演奏される大作。哀愁にみちたメロディーが会場を包み、やがて幻想的な世界へと誘います。即興的な要素が含まれる後半まで、曲の表情をとらえながら色彩豊かに演奏してくださいました。

 

 山内さんの優しく粒ぞろいの音色は聴き手の耳に心地よく、心を穏やかにさせてくれます。また、曲の解釈も柔らかく捉えられています。これからも自分の心を素直に表現した、優しさに溢れた演奏を続けてほしいと思います。

 

 

 

(担当職員T)

 

 

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