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『すばるイブニングコンサート 大山桃暖ピアノリサイタル』公演レポート 2022.02.01
第54回目のピアニストは大阪学芸高等学校1年生の大山桃暖さんです。
大山さんのコンサートはモーツァルトの「幻想曲ニ短調」ではじまりました。美しく透き通るような和音が会場に響き渡ります。休符がもたらす緊張と柔らかく優しいメロディーの対比が素晴らしい演奏でした。続いてはショパンの「バラード第1番」を演奏してくださいました。低音も高音も澄んだ音色がピアノから放たれ心に迫ってきます。音型やリズムなど繰り返し演奏される部分は様々に表現が異なっていてとても味わい深く、内に秘めた情熱がたっぷりと込められていました。次の曲は、ワーグナー=リストの「イゾルデの愛の死」。大山さんがプログラムノートに書いてくださったように、弦楽器をイメージしてずっと鳴り響いているかのように演奏される鍵盤の連打が、楽劇の悲哀に満ちたシーンを思わせ、張り詰めた空気を醸し出していきます。愛のあふれる優しい旋律が情熱的に歌われドラマティックに展開すると、やがて瞑想のように静かな最後を迎えました。次は、チャイコフスキーの作品から「ドゥムカ」。雪の降る広大な大地を想像させる冒頭部分から、力強くリズミカルで陽気な雰囲気の中間部まで高い集中力を持って演奏してくださいました。最後はストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」からの3楽章。高い技巧を活かした小気味良くダイナミックな演奏に一気に惹きつけられます。音の跳躍も軽やかに、終始魅惑的な演奏を聴かせてくださいました。
大山さんは音の透明感が秀逸で、曲全体の構成を俯瞰できる力をお持ちです。また、休符が生み出す「間」の感覚が素晴らしく、曲の魅力を存分に引き出されていました。これからも持ち前のテクニックを活かされ、更に表現力の幅を広げていただきたいと思います。
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