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『すばるイブニングコンサート 西岡沙樹ピアノリサイタル』公演レポート 2014.03.12
第20回目のピアニストは京都市立芸術大学3年生の西岡沙樹さんです。
西岡さんは「フランス」に関係する作曲家の作品でプログラムを構成されました。まずは、ドビュッシーの12の練習曲より。「1.5本の指のための」では、チェルニーの練習曲のモティーフが組み込まれているのがよくわかります。曲想は次第にスピードアップし風が吹き抜けるように駆けていきます。「5.8度音程のために」では、スケルツォのように華やかな演奏してくださいました。
続いては、ラヴェルの「夜のガスパール」。“オンディーヌ”は静かな右手の連打にのせて語りかけるようなメロディーが浮かび上がり、やがて水の精のさまざまな表情が描かれていきます。“絞首台”は葬送行進曲のような不気味な鐘に乗せて、生と死、光と影が入り混じるような不気味な世界が描かれていきます。“スカルボ”は非常に技巧的で激しい曲ですが、西岡さんの演奏は切れ味がよく、音と音の「間」が絶妙で、その緊張感が妖精スカルボのいたずらぶりを象徴的に表していました。
そして、最後に演奏してくださったのはショパンの「ピアノ・ソナタ第3番」。第一楽章では音の抑揚が素晴らしく、子守唄のように美しく優しく旋律を歌いあげ、独創的なハーモニーの世界に引きこまれていきます。第二楽章では軽快な楽章ながらも一つ一つの音の粒が際立った、リズミカルな演奏が繰り広げられ、第三楽章では低音の響きが豊かで、美しい旋律をしっかりと支えていました。第四楽章は、勢いにまかせることなくしっかりとコントロールされた演奏で、堂々とした迫力と昂揚感にあふれる演奏でした。
西岡さんはご自身の描く世界を存分に表現でき、他の曲へのアプローチも聴いてみたいと思わせる素晴らしいピアニストです。これからもたくさんの曲に挑戦していただき、新しい世界観を表現し続けてほしいと思います。
(担当職員T)
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