すばるくんのブログ(公式)

『すばるイブニングコンサート 杉本沙織ピアノリサイタル』公演レポート   2013.05.15


第16回目のピアニストは大阪信愛女学院高等部2年の杉本沙織さんです。
杉本さんのプログラムは、まずベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第2番」。第一楽章の朗々と明るいメロディーが会場に響き渡り、コンサートの幕開けを告げます。テンポよく軽やかに展開したかと思えば、第二楽章では夜空の星々が美しく煌きながら日周運動するように、ゆったりとした時間の経過を味わうことができました。第三楽章では、躍動感と美しい旋律を丁寧に演奏してくださいました。第四楽章では優美な主題が変化していきベートーヴェンの創造力を楽しむことができました。続いてはショパンの「ピアノ・ソナタ第2番」。第一楽章では序奏の重音に続いて主題が激しく流れると、甘美な第二主題が現れます。この二つの側面を杉本さんはしっかりと捉え、心の高揚を見事に表現してくださいました。第二楽章では、音の跳躍部分も力強く確かな演奏を、また中間部では美しい音色で歌心をたっぷりと聴かせてくださいました。第三楽章は有名な葬送行進曲。静かで重々しい空気にやがて希望の光のように美しいメロディーが差し込んできます。最後の第四楽章では吹き荒ぶ気流のように、時に激しく時に消え入るように音楽が流れて行きました。そして、最後の曲はドビュッシーの「喜びの島」。これまでの2曲とはうってかわって、華やかでリズミカルな世界に引き込まれます。恋人たちのお喋りやデュエットダンスが想像できるような、とても楽しい演奏を聴かせてくださいました。
杉本さんの演奏はその作品の本質的な魅力と新たな発見の両方を楽しませてくださる、とても素晴らしい演奏でした。その素晴しい観察力を生かして、今後更に演奏の幅を広げていってくださると思います。
(担当職員T)

ページの最初に戻る