すばるくんのブログ(公式)

『すばるイブニングコンサート 三好朝香ピアノリサイタル』公演レポート   2015.05.19

 

 

 

 

 

第28回目のピアニストは東京藝術大学3年の三好朝香さんです。

 

三好さんのプログラムは、まずドビュッシーの前奏曲集第一集から始まりました。今回はこの中から4曲を演奏してくださいました。「第1曲 デルフィの舞姫たち」では、明るく優しい音色が幻想的な世界を創り上げていきます。「第5曲 アナカプリの丘」では、透き通った音色が軽やかに民族的なメロディーを歌い上げます。「第7曲 西風の見たもの」では激しい嵐を描きだすように、音の波が会場に吹き荒れます。「第8曲 亜麻色の髪の乙女」では、一転して美しいメロディーがゆったりと響き渡ります。弱音の美しさがより一層、会場の時間の流れを緩やかにしていきます。続いてはリストの「超絶技巧練習曲集より“狩り”」。冒頭の重厚な和音が切れ味鋭く奏でられていきます。高音部の素早い展開も優しく丁寧で抑制が効いていて、やがて美しい旋律が現れると、若々しく爽やかな響きに包まれました。そして、最後はショパンの「ピアノソナタ第3番」。第一楽章では、全体の構成がしっかりととれていて、反復箇所もそれぞれに異なった表情が伺えます。やがて現れる甘美なメロディーもたっぷりとピアノが歌っていて、ピアノから息遣いがきこえてくるようでした。第二楽章では、即興的な音楽が軽快に跳躍し、音が輝きを放ちます。第三楽章では、ゆったりとしたノクターン風の曲想を、安らいだメロディーを音の響きを確かめるかのように、しっかりと奏でてくださいました。第四楽章では、ショパンの情熱が溢れるこの楽章を、堂々とした説得力で、重厚に演奏してくださいました。

 

 三好さんは、とても明るく優しい音色をお持ちで、心地よい空間を作ることができます。その空間では時間を忘れ、いつまでも演奏を聴いていられそうな気がします。そんな素敵な雰囲気に包み込む魅惑的なピアニストです。

 

(担当職員T)

 

 

ページの最初に戻る