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『すばるイブニングコンサート 片山響ピアノリサイタル』公演レポート 2017.05.12
第39回目のピアニストは奈良県広陵町立真美ケ丘中学校3年の片山響さんです。
片山さんのプログラムはデュティユーの「ピアノ・ソナタ第3楽章~コラールと変奏~」で始まりました。ダイナミックな打鍵で始まると、神秘的なハーモニーに会場が包まれます。歯切れの良い低音が重厚に、そして輝かしい高音も高らかに響き渡る力強い演奏でした。続いては、バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻第13番」。プレリュードでは美しいメロディーを支えるように伴奏がなめらかに遷移し、2声の絡み合いがとても味わい深く、またフーガでは新緑の大地を描くかのような叙情的な演奏でした。そして次はショパンの作品から「練習曲Op.10-8とOp.25-12」。Op.10-8では、右手のメロディーがとてもリズミカルで、煌めく音の粒が輝きを放っていました。そしてOp.25-12では、鍵盤を指が端から端まで駆け回り、息をつく間も与えないような緊張感に満ちた演奏でした。続いてもショパンの作品で「ピアノ・ソナタ第3番から第4楽章」を演奏してくださいました。ショパンの情熱溢れる作品を、自分の持てる精一杯の力を込めて演奏してくださいました。堂々とした力強い演奏で、片山さんの芯の強い音の魅力が存分につまった熱い演奏でした。そして次は、ニールセンの作品から「6つのユモレスク・バガテル」。モーツァルトのような軽快なタッチの作品、ユーモアあふれる作品、こどもに絵本を読み聞かせるような優しさに満ちた作品、打鍵の変化が面白い作品など、それぞれの作品の特徴が際立っています。片山さんは作品の特徴をとらえ、それぞれの雰囲気を上手に醸し出す演奏をしてくださいました。その次に演奏してくだったのは、アリャビエフ=リストの「ナイチンゲール」。鳥のさえずりをあらわすトリルの演奏が切なく響き、ロシア的なメロディーと相まって、哀愁漂う大人の恋の世界に惹きこまれるような演奏でした。そして、最後に演奏してくださったのは、プロコフィエフの「ピアノ・ソナタ第3番」。ピアノが唸りを上げて演奏が始まります。ピアノの可能性を探求するかのような実験的な雰囲気が感じられ、プロコフィエフの独創的な音の跳躍、リズム、無機質な音の響きを大切に演奏してくださいました。
片山さんは硬く芯のある音をお持ちで、男性や年長者にも引けを取りません。また、やさしい音色も備えておられて、表現の幅が広く、豊かな音色で演奏してくださいます。これからの成長がとても楽しみな14歳のピアニストです。
(担当職員T)
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