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『すばるイブニングコンサート 市居宥香ピアノリサイタル』公演レポート   2017.05.16


 

 

 

第40回目のピアニストは桐朋女子高等学校音楽科3年の市居宥香さんです。
市居さんのプログラムは、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第21番“ワルトシュタイン”第1楽章」で始まりました。小気味良いリズムに乗せて、若々しく勢いのある演奏が繰り広げられ、中音域のふくよかな温かみのある音色が美しいハーモニーを奏でていきます。緩徐部分もしっかりと間合いを取りながら落ち着いた演奏を聴かせてくださいました。続いて演奏してくださったのは、メンデルスゾーンの「ロンドカプリチオーソ」。優美に、そして朗々と歌われた序奏がとても印象深く、終始歌心を保ちながら演奏してくださいました。そして次はショパンの作品から「練習曲Op.10-4と5」を演奏してくださいました。Op.10-4では、流れ行く細かい一音一音を正確にたどっていくかのように、曲のうねりに振り回されないように節制された力強い演奏を聴かせてくださいました。また、Op.10-4では、指が鍵盤上をリズミカルに駆け回る軽快さに溢れた演奏を聴かせてくださいました。また、続いてもショパンの作品で「バラード第2番」を演奏してくださいました。まるで暗闇を灯す蝋燭の静かな明かりに、激しい嵐が襲いかかるかのようなコントラストのはっきりした曲を、優しい音色とダイナミックな音色を駆使して、ドラマティックに演奏してくださいました。次に演奏してくださったのは、ラヴェルの「水の戯れ」。小川に清らかな水が湧きでるかのように、透き通った音色が響きます。水に波紋が広がり、消え行く様子が目に浮かぶような演奏でした。そして、プログラムの最後にデュティユーの「ピアノソナタ第3楽章“コラールと変奏”」を演奏してくださいました。前の曲から一転して、固い音の粒がピアノから引き出されて、火花を散らすかのような熱い演奏に変わりました。繊細で異質な音の響きの中に、市居さんの強い意志を感じることができました。
市居さんは温かみのある音色をお持ちで、心地よいハーモニーを聴かせてくださいます。また、歌心にも溢れていて曲を歌わせるのがお上手です。これからどんな作品で、その心を表現してくださるのか、とても楽しみなピアニストです。

 

(担当職員T)

 

 

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