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『すばるイブニングコンサート 芝野速大ピアノリサイタル』公演レポート   2019.01.08


 

 

 

第45回目のピアニストは京都市立芸術大学3年の芝野速大さんです。
芝野さんのプログラムの前半はモーツァルトの「クラヴィーアソナタ第8番第1楽章」で始まりました。短調で作曲された抒情的な作品のイメージが強い曲ですが、予想を覆して何かに突き動かされたかのような速いテンポで、息のつく間もない圧巻の演奏を聴かせてくださいました。芝野さんがその後のトーク部分で解説してくださいましたが、現代的なアプローチとして、こういったスタイルが確立されているそうです。続いて演奏してくださったのは、ドビュッシーの「ロマンティックなワルツ」。芝野さんによるとドビュッシーがショパンの影響を受けて学生時代に作った習作だそうです。ワルツのリズムに乗せて煌めく美しいメロディーが波を打つかのように流れていき、ロマン派の作品のように感じることができました。そして、前半のプログラムの締めくくりはモーツァルトに戻って「クラヴィーアソナタ第12番」を演奏してくださいました。第1楽章の有名なメロディーが優しく奏でられたかと思うと、華やかに曲が展開していきます。芝野さんは休符やスタッカート、メリハリのきいた強弱で音楽を活き活きと際立たせる演奏をしてくださいました。第2楽章では芝野さんが“オペラ歌手が歌うかのように”とおっしゃったそのとおりに、優しく丁寧にメロディーが歌われ、左手は時計の針のように静かにリズムを刻んでいきます。第3楽章では、再び勢いが戻って明るく朗らかな音がピアノから飛び出していきました。そして、後半のプログラムの最初に演奏してくださったのはタイユフェールの「フランスの花々」です。非常に珍しい作曲家の作品で、初めて聴かれた方も多かったことと思います。フランスの地方に咲く花がテーマとなっていて、1分程度の短い8つの作品で構成される曲です。印象深かった作品は、香りがふんわりと風に乗って舞っているかのような“プロヴァンスのジャスミン”、少しさみしげにひっそりと咲いているかのような“アンジュのバラ”、雄大な大地で陽気に日差しを浴びているかのような“ラングドックのひまわり”の3曲です。シンプルな作風がよりタイユフェールらしさをだしているように感じました。そして、最後に演奏してくださったのはスクリアビンの「幻想曲」です。静寂の中からスクリアビンの神秘的な和音が響き、郷愁にかられる甘美なメロディーがあらわれます。やがて音楽は昇華し、異次元の扉を開くかのようにドラマティックな終焉を迎えました。
芝野さんは曲目解説も演奏の合間のトークも詳しく説明してくださり、音楽としっかり向き合っている様子を伺うことができました。モーツァルトとスクリャービンでの思い切りの良い演奏と、ドビュッシーとタイユフェールでの繊細な演奏のコントラストが印象的でした。これからも音楽を研究して、曲の新たな魅力を発見し続けてほしいピアニストです。

(担当職員T)

 

 

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