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『すばるイブニングコンサート 木本侑希ピアノリサイタル』公演レポート   2021.02.07

 

 

 

第51回目のピアニストは兵庫県立西宮高校1年生の木本侑希さんです。
木本さんのご挨拶に続いて、最初に演奏してくださったのは、バッハの「パルティータ第3番」。優しく柔らかい音色で左右の手に現れる旋律を明確に描いてくださいました。6つの曲の曲想にあわせ、素早い流れに乗ったり、空間に溜めを作ったり、リズミカルに動いてみたりと様々な曲の表情を味わせてくださいました。続いては、ショパンのエチュードから2曲「Op.10-2と8」。落ち着いた左手のテンポにのせて、右手が半音階を滑らかに駆け抜けるOp.10-2と、高音域が光の反射を描くような眩いOp.10-8を披露してくださいました。続いてもショパンの作品から「スケルツォ第3番」。不安気で不気味な序奏から、オクターブによる力強い第1主題に移りますが、音の響きを確かめるかのように俯瞰した落ち着いた演奏で、そこから現れる陰影に富んだ幻想的な表現がとても印象的でした。次に演奏してくださったのは、シューマンの「ピアノ・ソナタ第3番から第1楽章と第4楽章」です。秘められた情熱が、時には囁きとなって、時には激情となって入り乱れます。木本さんは集中力を切らすことなく、様々な感情に溢れるこの曲を、心の変化をしっかりと捉えながら弾ききってくださいました。そして、プログラムの最後に、リストの「ハンガリー狂詩曲第12番」を演奏してくださいました。曲の展開と共に、音楽はますます華麗に装飾され、目まぐるしく変化していきます。木本さんは、時折あらわれる煌めいたパッセージも軽やかに愛らしく演奏してくださり、重厚な和音も美しく会場に響かせてくださいました。
木本さんは音楽を繊細に表現でき、そのために必要なバランス感覚を備えていらっしゃいます。その中から生み出される優しい音色で、これからも豊かな表現力に満ちた音楽を届けていただきたいと思います。

(担当職員T)

 

 

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