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『すばるイブニングコンサート 飯田円 ピアノ・リサイタル』公演レポート   2025.04.01

 

 

 

第65回目のピアニストの飯田円さんです。
飯田さんのコンサートは、シューベルトの「ピアノ・ソナタ第13番」で始まりました。第一楽章は、柔らかく暖かい音色が響き渡り、春の訪れを喜ぶようなのどかな旋律を朗々と歌ってくださいました。第二楽章は、繊細な感情の変化を丁寧に描きしてくださいました。第三楽章はリズミカルな演奏で、活き活きと躍動感あふれる音楽を紡いでくださいました。続いて演奏してくださったのは、ラフマニノフの「ひなぎく」。光が乱反射するように、ピアノから生み出される音の粒がまぶしい輝きを放ち、幻想的な世界へと誘ってくださいました。続いてもラフマニノフの作品で、エチュード「音の絵」からOp.39-8とOp.39-1の2曲。Op.39-8では、一つの悲しい物語を描くかのように、悲哀に満ちた音色がドラマティックに綴られました。また、Op.39-1では、滑らかな指捌きから変化に富んだ音楽が生み出されました。そして、最後に演奏してくださったのはシューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化芝居『想的情景』」。これまでの演奏とは違い、厚みのある豊かな音色が会場を包み込み、楽曲を構成する5つの楽章を表情豊かに演奏してくださいました。第一楽章は力強い演奏で鼓舞するように、第二楽章は切ないメロディーを丁寧に、第三楽章では道化のようにコミカルで楽しく、第四楽章ではうねりを作りながら流れるように、第五楽章はお祭りの様々な場面を多彩に表現してくださいました。
飯田さんは、会場の隅々まで美しく響き渡る音色をお持ちです。確かな音楽創りと多彩な表現で、聴く人の心に迫ることができるピアニストです。これからも、いろんな作品で魅力を発揮してくださるのが楽しみです。

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