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『すばるイブニングコンサート 荒石果穂ピアノリサイタル』公演レポート   2017.01.24

 

 

 

第36回目のピアニストは大阪府立生野高等学校2年の荒石果穂さんです。

 

荒石さんのプログラムはバッハの「平均律クラヴィーア第1巻第13番」で始まりました。プレリュードは優しいタッチで語りかけるような演奏、フーガはこの日の冷え込んだ気温とは対照的に、和やかな日差しが会場に差し込むかのような暖かい演奏をしてくださいました。続いては、モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第8番(k.311)」を演奏してくださいました。第1楽章では、柔らかく、一音一音の音の粒がはっきりと際立った演奏、第2楽章では響きを確かめながらの繊細な音づくり、第3楽章では躍動感あふれる楽想に、軽さと重さという、反する音の表情が印象的でした。続いては、シマノフスキの「主題と変奏曲」を演奏してくださいました。神秘的な主題のメロディーが奏でられると、深淵な世界に惹き込まれていきます。変奏曲は時に激しく、時に静かに変化し、音が跳躍したり、民族舞踊のようなリズムを打ったりと、ピアノの表現力を活かしたピアニスティックな魅力が詰まった作品でした。次に演奏してくださったのは、ショパンの「夜想曲第20番(遺作)」です。ショパンの夜想曲では演奏機会の多い曲ですが、荒石さんは丁寧に、かつ情緒深く、思いを込めた演奏をしてくださいました。まるで澄み切った夜空に輝く月のように、心が洗われる演奏でした。そして、最後に演奏してくださったのはリストの「スペイン狂詩曲」です。情熱的に華々しく始まり、高音部が美しくかき鳴らされると、反対に低音部から重厚に発展していきます。荒石さんは、素早いパッセージも集中力を保ち、壮大な世界観を表現してくださいました。

荒石さんの演奏は音の変化が絶妙で、音楽の表現が豊かです。力の抜き方や、音楽の歌い方によるものと思われますが、それが大きな魅力となっています。これからもご自身でしかできない音楽の表現を追求していただき、聴く人の心を魅了していただきたいと思います。

 

(担当職員T)

 

 

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